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2019年 全日本吹奏楽コンクール課題曲 楽曲別推奨楽器のご紹介。~課題曲Ⅴ ビスマス・サイケデリア I 

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 打楽器奏者の平尾信幸氏監修による、

2019年 全日本吹奏楽コンクール課題曲 楽曲別・推奨楽器のご紹介です。

 

課題曲Ⅴ ビスマス・サイケデリア I

 

 

ビスマス鉱石の輝きをサイケデリックにとらえたというこの作品は、実に自由闊達で多彩な色彩感に溢れ、聴くものの意表を突く構成やオーケストレーションは夢の中で繰り広げられる出来事のようにわくわくドキドキの連続ですね。サイケデリックアートが世界を席巻していた1960年代の雰囲気をかろうじて知る世代の人間としてはどことなく懐かしさすら感じる洒脱な作品です。作曲者自身が「打楽器は、全体を通して主導権を握る…」と明言している通り、目まぐるしく変化するプロットごとのスタイル、1音1音選び抜かれ、研ぎ澄まされた音色感を、よりデフォルメする魅力的な楽器選びをしたいと思います。いくつかキーポイントになる楽器を挙げてみましょう。

 

☆スネアドラム

冒頭のロールは、繊細でクラシカルなシンフォニックサウンドというより、60年代から70年代くらいのサーカスバンドやショーバンドを彷彿させる軽やかでオープンで金属的なサウンドが欲しく、フラッシュライトのように散りばめられたリムショットはジャズバンド的に、124小節からはハードロック、ヘヴィーメタル的な力強さがほしい…そこでまず考えられるのが、センシトーンシリーズです。エリート(STE14575BRC)とプレミアム(STA1450FB)。コンサートパーカッションのラインナップはブラスシェルだけになりますがスチールシェルもあり、こちらはブラスよりストレートなサウンド。これらメタルシェルのオープンで上質の楽器を基本に考えてよいと思います。さらにもっとアグレッシブなサウンドが欲しいと熱望するひとには、パールスネアドラム界のホイールローダーとも言えるリファレンス・メタルシリーズがお薦めです。ブラスは3mm厚、スチールは2.5mm厚のシェル。これはもう、圧倒的存在感でリミッターのない音量、音圧は圧巻です。

アンプラグドの吹奏楽コンクールのステージ上では取り扱い注意かも(笑)標準仕様のPinstripe coated ヘッドよりオープンでパワフルなアンバサダーX coatedをお薦めします

 

☆バスドラム

曲中7発のコンサートバスドラムは打撃音より、地球全体、宇宙全体の振動をイメージした豊かな重低音が必要。フィルハーモニックシリーズ“プレミアム”を基本にしたいです。

☆フットバスドラム…この課題曲の最大のキーポイントと言えるかもしれません。クラシックや吹奏楽がわの人間が意外にスルーしがちなで、音色のイメージが曖昧になるキック。

中学高校の吹奏楽部でよくお目にかかるのが、テンションボルトは抜け落ち楽器を支えるバスドラムスパーは緩んでガタガタ。あればまだ良くて片方行方不明。いつ換えたかわからないヘッドにたっぷり詰め込まれた毛布…アマ・プロ(私も含む)問わずドラムセットを誤解している打楽器奏者は多いと思います。いい機会ですのでポピュラーミュージックを見習ってみましょう。当然マイクを通したサウンドがほとんどです。が、それを作り上げたプレーヤー、プロデューサー、レコーディングエンジニアたちのこだわりは半端ないものがあります。今回はサイトランスミュージック系の打ち込みなどからもヒントを得ることができるかもしれません。でまずはPearl“Drums & Percussion”のカタログを入手することから始めましょう。何と言ってもPearlは日本のドラムセット製造のパイオニアとして伝統と高い技術をもつ会社なのですよ!詳しい説明がそこに記載されていますのでぜひよみましょう。個性的なクリスタルビート(CRB2216X/C)は70年代に流行ったシームレスの透明アクリルシェル。倍音は少ないですが、チューニングによっては図太い爆発音が楽しめます。ちなみに私が現在神奈川フィルで愛用しているのはマスターズメイプル6プライ22㌅。フロントはブラックビート(EB-22BDPL)でホールカットしてあります。打面は場合によって変えますがパワーストローク3のコーティッド(P3-122B)かスエード(P3-122B/SU)。バスドラムスパ―の足元にはレゾリング(RRG-35)。ビーターはクォードビーター(B-250QB)中心に最近はヴィックファースのペダルビーター(VIC-VKB5)も多用しています。ミュートは内部にバスタオル一枚程度です。今持っているPearlドラムを使用するなら、部品のチェックや、ネジ類の増し締めなどメンテナンスなどしっかりして皆さんならではの音創りに挑戦してください。

 

☆サスペンドシンバル

カップ部分に魅力のあるシンバルということでHHX-18SAAX-18Sあたりを基本に考えてみましょう。さらにカップのサウンドに特化するならライドシンバルに目を向けるのも手ですね。AA-20RRを基本に、面白い所ではHHシリーズのパワーベルライド(HH-22PBR)、

各シリーズにRAW BELL DRY RIDEというラインナップがあります。HHX-21RDRはお薦めです(HH,AA,AAX-21RDRは受注生産で納期に時間がかかります)

 

☆ハイハット

この楽器に対する感覚も、吹奏楽の世界では「あればいいよ」的でやや気配りに欠けるように感じられます。是非Pearl Drum & percussionカタログを見てくださいね、その種類の多さにびっくりすると思います。最近の傾向はセンシティヴで個性的なハイハットが主流のようですが…私もすべて叩いたわけではないので知ってる中からこの曲へのお薦めは、AAのロックハッツ(AA-14TRH,14BRH)を基本にAAXメタルハッツ(AAX-14TMEH,14BMEH)、AAXステージハッツ(AAX-14TSGH、14BSGH)などのパワー系です。

 

☆カウベル

使いやすさではECBシリーズ。大きさが変わっても音色のキャラクターが均一で余韻も適度にカットされます。対してラテン音楽のそれぞれスタイルに対応するように設定された伸びやかな余韻とオープンなサウンドと広いダイナミクスレンジが素晴らしいBCMシリーズ。最初は難しいかもしれませんが、上級者は是非このニューヨーカーBCMで多彩な音色作りを楽しんでほしいと願います。

 

☆グロッケン

Cから31小節までのスケールは、レゾネーター装着による豊かな音色とダンパーペダルによって余韻コントロール可能なアダムス・アーティストグロッケンシュピール(AD-GAT33)で、より繊細で立体的な音楽表現が可能になります。