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2020年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲 フルートパート徹底解説【Ⅳ】エール・マーチ 解説:白水 裕憲

2020年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲 フルートパート徹底解説!

課題曲Ⅳ 吹奏楽のための「エール・マーチ」

解説:白水 裕憲    群馬交響楽団 フルート奏者

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◇「エール・マーチ」◇

 

この作品は、無駄のない極めてシンプルな楽曲です。技術的に困難な箇所も少なく、取り組みやすいと思います。エール・マーチという曲名に相応しい、夢と勇気と希望を与えてくれるメロディ、そしてそれを支える確かなハーモニーと軽快なリズム、永く心に残る素敵な曲だと思います。それだけに、細部まで基本に忠実に丁寧に演奏する事が求められます。

 

では、順番に見ていきましょう。冒頭の装飾音は普通、ハーモニーの前に出します。

ちょうど十六分音符一つ分くらいです。予備拍を1小節分数えて『1、2っファソラシ』という感じです。そしてそのまま『シとド』のトリルとなりますが、その最初のシを少し強調してハーモニーを確認して下さい。トリルが始まったら、人の耳はトリルの上の音に関心がいきますから、少し明るめに『ド』の方を強調しましょう。

 

3小節めは、八分音符単位でリズムを感じながら、八分休符の後、正確に三等分した三連符が必要です。さっき冒頭の3つの装飾音は十六分音符一つ分くらいと、アバウトに表現しましたが、こちらはアバウトではいけません。従って、金管の付点音符のリズムと合ってはいけないのです。これは確認と訓練が必要です。そのあと、八分音符にアクセントが付いているメロディ、これが前奏のテーマですね。他の木管、金管とアクセントの感じを合わせて、明るく力強く奏でて下さい。その次の六連符は、書いてありませんが、クレッシェンドして『シ♭』のアクセントに向かいます。こういう場合は正確さも大切ですが、出発点と到達点のタイミングだけピッタリ合わせて、あとは木管みんなの『感じ方』を合わせて下さい。

 

Aからはクラリネット が主題を演奏、それを引き継いでBからフルートとピッコロもメロディを担当しますが、Aはmp、Bはmfです。姿勢を正してハッキリ、堂々と演奏しましょう。音列は難しくありませんが、打楽器と金管のリズムをよく聴いて、それに乗って正確に丁寧に、そして希望に満ちたイメージを表現して下さい。

 

Cからは、主役が金管に移ります。それまで打楽器や金管が支えてくれていたリズムの雰囲気をそのまま受け継いで、でも木管は、それ以上に軽やかなイメージも必要です。

 

各フレーズ、最後まで丁寧に演奏して下さい。Cの前とDの前は、スタッカートで終わりますが、最後の長さとタイミングを、軽やかにピッタリと他の楽器と合わせて下さい。Eの前はレガートの音階ですね。クレッシェンドがありますが、かけるのが早過ぎると効果がありません。最後の『ソラシドレ』が立派なクレッシェンドに聴こえる様に、作戦を立ててみて下さい。Fの前も同じです。ここはより綿密に計画して効果を盛り上げましょう。

 

Fからはメロディですが、みんなの大ユニゾンですから、フォルテと言ってもフルートはシャカリキにはならず、みんなのメロディの一番上に乗かって優雅に演奏します。

 

Hの5小節前から、十六分音符、三連符、付点音符と、特徴的なリズムが連続します。これはらは、リズムの違いを正確に強調して、客席の誰が聴いてもリズムがハッキリ聴き分けられるように、みんなで特訓して下さい。三連符と十六分音符は正確さ以上に、コレでもかと言う位の差をつけましょう!硬く短めに演奏する方が効果的です。

 

トリオの途中から美しいメロディを引き継ぎます。クラリネット のフレーズより少しだけ前向きな動きを持ちます。大空に飛翔していくイメージで、風に乗って空を舞う自分の姿を想像して見て下さい。きっと楽しく吹けますよ。

 

Jからは『マエストーソ』、荘厳で堂々とした雰囲気、フルートの音で表現するのは難しいですが、姿勢を正して自信を持って吹いている姿を客席にアピールして下さい。見た目で貢献する事も重要です。

 

音楽のイメージとしての『優雅さ』『誠実さ』『丁寧さ』『可愛いらしさ』『夢』など、これらは演奏する姿勢、楽器の角度、或いは出入りの態度でも表現出来ます。作曲者のこの曲に対する想いを汲み取って、素敵なステージにしてください。

 

最後になりましたが、この曲ではフルートパートで最も重要なのはピッコロです。みんなをリードする責任があります。お手本になるような演奏を心がけて下さい。