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2020年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲 打楽器パート徹底解説【課題曲Ⅲ】僕らのインベンション 解説:中村 拓美 

2020年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲 打楽器パート徹底解説【課題曲Ⅲ】僕らのインベンション 宮川 彬良

 

解説:中村 拓美

大阪フィルハーモニー交響楽団 ティンパニ・打楽器奏者

 

どんな演奏がしたいですか?大事なことは、あなたから湧いてくるイメージと意志。好き勝手にやる、と言うことではありません。その楽曲の特性、演奏する仲間や指揮者との関係の中で「自分の言葉」で演奏するのです。
スコアを一冊持ちましょう。そこに考えるヒントがあります。答えは一つではなく、自分が答えを選ぶのです。

 

僕ならこうする、というのを簡単に紹介します。

 

☆timpani
基本的に低音とのブレンドを意識します。
例えば18~25小節目、低音楽器と一緒に練習してみてください。聴くポイントは音色、音程、音量、音の長さ(処理)等。
僕ならバチは硬さ重さともに中程度のものを使い、スピードのあるタッチで演奏します。
相手の息を想像するとわかりやすいです。

 

56小節目からD C B♭ Aと出てきます。Dは23インチの楽器より26インチの方が良く鳴ります。
29インチでC→B♭と音変えで演奏、 32インチでAというのはどうでしょうか。101小節目のトレモロは少しdim.fp気味に演奏して木管にかぶらないように。
106小節目からの四分音符はスピードのある音を出しますが、 mfです。低音楽器がfになっていますから突出させずに支えになるつもりでやります。
間に出てくる fのアクセントはハッキリ明瞭に。
149小節目も101小節目と同様にfp気味に。
167小節目は意識的に16分音符ハッキリとスピードを。

 

vib.

木管楽器と練習しましょう。その中で歌い方、音色、バランス、音の長さ(処理)を揃え、バチを選びます。
意図的に音の長さが木管と違うように書いてあるところは譜面の長さを尊重。
ペダリングの仕方は様々です。長い音は踏みますが、スタッカートはただ踏まずにやるだけではなく場面によって色々試してみてください。

 

① 踏まない

② 1音づつ踏む

③ 半分踏み込んだ状態で叩く(ハーフペダル)

など他にもありますがこれらを織り混ぜます。

 

xylo.

72小節目からのメロディーを歌い、その延長で 77を演奏します。
軽く明るく発音の良いタッチとマレット選びを。

 

tamb.

このタンタカタンというリズム、僕なら中指(薬指も)と親指をドアノブを回すように交互に使って演奏します。後に出てくる3連のパターンも同様です。
アクセントで全体のノリを作るようにして細かい音符は軽く力を抜くのがコツ。

その他にも膝に置いて両手で叩く、スタンドにセットする等の方法もあります。その場合は皮を少しミュートする方が反応が良く聴こえるでしょう。

 

88小節目からのスタッカートですが音楽は柔らかい場面。柔らかなタッチでメロディーを歌いながら出来るように。

 

C.CYM.

音量よりもまず音色をイメージしてやり方を考えます。具体的には両シンバルで作っている「ハの字」の角度です。
角度がついてる方が肉厚な表現、角度が平行に近づけば軽い表現がやりやすいです。
そして、その角度によって当てるスピードを変えます。
例えば106小節目ならスピード少し速め、角度もちょっとだけつけて、楽に当ててみてください。音は止めず伸ばしっぱなしです。ラストはソロですが音量を意識せず楽に力を抜きます。ま
ずは音色をイメージしてスピードと角度をたくさん試しましょう。

 

wood block
72.88小節目からはメロディーを歌いその中で演奏します。

 

81小節目の形はディミヌエンドするようなつもりで。

中程度の大きさの楽器を硬いヴィブラフォンのマレットなどで楽に柔らかく演奏するのが良いかと思います。

 

SD

101小節目のロールは毎小節ディミヌエンドもしくは fpにして木管を聴かせます。

 

106小節目からはシンコペーションのメロディーを歌いながら前へ推進力をもって演奏しましょう。
126小節目はゆっくりから丁寧に練習を。頭拍を少しアクセント気味にしてノリを作り、細かい音符は軽く演奏するのがコツです。

149小節目はfpのように。クレッシェンドは151.152小節目でかけます。
167小節目の16分音符はハッキリと。

 

BD

ラストの音は fffと書かれていますが、まずはそれを気にせずリラックスします。
スピードをつけて、腕の重みと、バチの重さをヘッドにしっかり乗せることと、左手で皮を押さえながら打つことで音にまとまりを加えます。

 

僕ならこんな感じです。あなたならどうしますか?

僕たちプロの奏者も、良い音で良い音楽がしたくていつも試行錯誤しています。是非コンサートに来てください。演目が課題曲でなくとも何かを感じるきっかけにきっとなりますよ。