メイン画像

2019年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲 課題曲Ⅲ 行進曲「春」 解説:相澤 政宏 (東京交響楽団 首席フルート奏者 東京音楽大学講師 THE FLUTE QUARTET)

2019年度 第66回全日本吹奏楽コンクール課題曲

課題曲Ⅲ 行進曲「春」

フルートパート<徹底解説>

解説:相澤 政宏 Masahiro Aizawa

(東京交響楽団 首席フルート奏者 東京音楽大学講師 THE FLUTE QUARTET)

 

行進曲「春」について、作曲家の福島弘和さんは「曲は生命感に満ち溢れた春の喜びを表現しています」とスコアの解説に書き記しています。

 

演奏者は、もちろん演奏者(演奏団体)としてのオリジナリティーを出すことがとても必要ですが、同時に作曲者の意図を伝えると言う大前提もあります。

芽吹きの春をイメージし、そのバンドの個性を出して素敵な演奏になるように願っています。

 

この曲はフルートパートにとっては難しい音の動きもあまりありませんし、高い音もあまり出てきません。比較的技術的には楽な部類の曲になると思いますが、それだけに、この曲を通して、個々の、パートの、セクションの、そして全体の素敵な響きを追及してみてください。音色感、音程、ヴィブラートの感じ、ソルフェージュ感が大切になってくると思います。

それでは順を追って私なりに感じたアドバイスをしていこうと思います。

 

3、4小節目の吹き始めは、2小節のまとまりをしっかり意識しましょう。最後のFの音だけ突出しないように、最初の下のFの音からしっかり響かせましょう。

 

7小節目からの動きですが、8小節目の2拍目の頭までが前のグループ、2拍目の裏は次のグループのアウフタクトの形になります。

11小節目からffになることに着目して欲しいですが、同時に、前からのフレーズの流れも意識しましょう。

 

練習番号「B」の5小節目のアウフタクトから8小節目の1拍目まではスラー中心になり、フルート、オーボエ、クラリネットがメロディーを受け持ちます。セクションのサウンドを意識して素敵な響きと歌を作るように心がけてください。

その後はリズミックで比較的音が高くなります。キツイ音にならないよう、音程に注意して、メロディー仲間のオーボエ、クラリネット、トランペットの響きに乗っかって良い響きを作ってください。

 

練習番号「C」は少し速い動きですね。スラーですが、音の粒をハッキリ喋ってください。2小節目、4小節目のF(ファ) G(ソ) F(ファ)や6小節目のE(ミ) F(ファ) E(ミ)などは、少しズルした指になりやすいですが、正確な指使いで明確に音を聞かせてください。又、2小節目、4小節目の下に降りたC(ド)の音、8小節目のA(ラ)の音は特に音色や音程が悪くならないように気を付けましょう。

 

練習番号「D」の2小節目の2拍目~4小節目の1拍目まではフルート、オーボエ、クラリネットで一瞬メロディーになるので、このグループのサウンドを意識してください。

練習番号「E」の7小節目は意外とフニャフニャな音や指になりやすいので、正確なアーティキュレーションでハッキリ聞かせてください。

練習番号「F」のアウフタクトからの一瞬の木管のメロディーの素敵な響きを楽しんでください。

練習番号「F」からは段々盛り上がって、練習番号「G」のトリオ前のffで完結するようになっているので、息の長いクレッシェンドをしっかり意識しましょう。

 

練習番号「G」の8小節目から練習番号「G」いっぱいまでは、アルトサックスも加わった木管楽器による美しいメロディです。とにかくこの場所は、木管の素敵なサウンドを追及してください。楽器の音量バランスによって様々な色合いの響きになります。又、フルートとサックスはヴィブラートがかかりますね。このヴィブラートのかかりぐあいによっても木管の響きが大きく変わります。殆んどノンヴィブラートも美しいかもしれません。この場所に合ったそれぞれの団体の個性ある響きを作ってください。

ここのスラーは1小節や2小節にかかる短いスラーですが、始まって終わるまでの1つの長いフレーズを意識してください。出来れば一息で吹きたいところです。一番吸いやすい練習番号「H」の4小節前と3小節前の間のG(ソ)の音の後は本当はあまり吸いたくありません。吸う場合はフレーズを壊さないように相当上手に吸ってください。人数が複数いたらブレスをずらすのも手だと思います。

 

練習番号「I」のEs(ミ♭)の音は響きにくいので、合奏中に自分の音が聞こえづらいかもしれません。聞こえないからと言って頑張りすぎると音が割れた感じになり余計に鳴らなくなってしまいます。もちろんfですが、いい案配の吹きかたをして楽器を響かせてください。

 

練習番号「K」の9小節目のアウフタクトから練習番号「K」いっぱいまでは、木管の響きを意識しながらよーく歌ってください。練習番号「K」の10小節目の1stフルートのAs(ラ♭)の音は、音も汚くなりやすく音程もとても高くなりやすいですので注意しましょう。音をお腹で支えるイメージで!通常のAs(ラ♭)の指+右手中指と人差し指を加える変え指があります。実はこの指の方が音が出やすく音程も響きも落ち着くので、お勧めします。

 

練習番号「L」からは最後のクライマックスですね。7小節目のピッコロのハイG(ソ)の音は目立つのでよく音程を合わせてください。

ここからはffなのでもちろん強奏ですが、春の喜びを感じた高貴で心に幅のあるffで締めくくってください。