フルート秘話 第11話を更新しました。

フルート秘話 第11話を更新致しました。

ご覧くださいませ!

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フルート秘話<第10話>をアップしました!

フルート秘話<第10話>をアップしました!

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フルート秘話Ⅱ しのぎを削る話

スポーツでもしのぎ(鎬)を削る熱戦が繰り広げられていますね。 実は、我々も頑張って日々削っております。 

もともと、「鎬」とは日本刀の盛り上がった稜線を指し、武士どうしが激しく戦う様を「鎬を削る」と言うそうですが、フルートの部品、アーム部分の左右に削り落とされた部分を職人たちは「しのぎ」と呼んでいます。ここをヤスリで仕上げているシーンは、皆さんのフルート製作に対して、頭に浮かぶ代表的なイメージではないでしょうか?

 

 

 

例えばポイント・アーム。カップと「しのぎ」のあるアームをロウ接します。(画像の上でクリック!で、拡大します)

 

 

 

さぁ、つけます。

 

 

 

こんな感じです。ちなみにこのキー、右に立ててある管専用です。一つのフルートに対し、全部品1セットが専用に用意されます。1/100mmにも満たない、微妙な個体差に合わせるためです。

 

 

 

この後、鎬をヤスリで削って(撮影のために職人には手を止めてもらってますが)、仕上げていきます。これは先ほどのロウ接の写真とは違うキーを作業していますが、説明という事で、ご了承ください。

 

 

 

製品写真です。こうやって見ると、ポイント・アームはもちろん、そこら中「しのぎ」だらけで構成されているのが分かります。フルートの外観要素としても「しのぎ」の役割は大きく、もし、だらしない形の「しのぎ」だったら、締まらない外観になるわけです。

※写真はマエスタ14K金製です。

 

それでは、どうぞよい週末をお過ごしください。

フルート秘話Ⅱ これも縁の下の力持ち

普段殆ど気にしないけど、無かったら全く演奏不可能な部品のご紹介です。

足部管のEsキー(左手小指)です。もちろん仕上げ前なので、完成品とは形もかなり違いますね。(見えにくい時は画像の上でクリック!拡大します)

 

 

何かがロウ接されました。

 

 

 

何が変わったか、分かりますか?

 

 

 

小さな突起みたいのが、加わりました。そう、これバネがかかる所なんです。

 

 

 

これが無かったら、バネが掛からず、押したキーが戻らない事になります。こんな小さな突起物、実は別部品だったんですよ!というお話に驚いて頂けたら嬉しいなぁ、という豆知識でした。

 

 

 

 

 

ギャラリーの辺りでも梅雨が明けました(でも雨も結構降ってますが…)。少しでも涼しく、と製品写真は背景を換えて撮ってみました。PCによっては色味など写りが違うかな、などと思いつつ、よい週末をお過ごしください。

フルート秘話Ⅱ もう一つのリングの話

フルートでリングと言われたら、まず「リングキー」を思い浮かべることと思いますが、今回は同じリングでも胴部管や足部管にハンダ付けされているもののお話しです。

「タル」と呼ぶ部分です。フルートを印象づける部分でもありますね。近年は材料・加工技術の進歩により管も素材段階から、かなり正確な寸法が出るようになっています。

 

 

そうは言っても、1/100mmが違いとして感じられるレベルになると、やはり一つ一つ手作業で合わせ込む加工が必要なのです。「緩すぎず、きつすぎない」感覚が求められます。写真はリングの合わせ込み作業です。

 

 

「タル」にリングのハンダ付け。「ろくろ」を使って綺麗かつ必要なハンダを注し、仕上げにキサゲ(刃物)で微妙な面を出します。職人は何気なく進めますが、一発勝負ですね(キサゲの作業が終わっていたので、格好をして貰いました)。

写真は完成品(ローズゴールド14K金)の「タル」部分です。

暑い日が続きますが、よい週末を。

フルート秘話Ⅱ バッタ・キーの製作

バッタ・キーというのは、左手の親指で操作する「HとB(ブリチアルディ・キー)」の組み合わせを指す当社用語です。その形状と動きが昆虫のバッタを連想させる所から来ているのですが、ユニークな名称だと思いませんか?

さて、この製作現場を紹介します。「バッタ・キー」は二つのキーの組み合わせで、フルートのキーで唯一軸方向がタテになっています。柔らかい板バネのフィーリングをはじめ、剛性や精密度などが音にも影響の出やすい、とても大事な部品です。

カップに治工具を入れ、トーンホールとの正確な位置関係を出し、それにアームになる部品を合わせます。ほんの僅かな微調整のために1mmにも満たない小部品を銀から削り出して合わせ込む事もあります。ヤスリで形状を整え、部品同士を合わせてみます。

ロウ付け。カップとアームを結合します。

 

 

ここまでで、このような感じです。この後磨きの作業を行い、組立て&タンポ調整を経て行きます。シリアルNo.28636(ハンドメイド・オペラ総銀)、ご注文頂いた、貴方の楽器を今製作しています。お手許に届くのをどうぞ楽しみにしていてください。(なお、シリアルNo.は当社の製作管理番号ですので、お客様の好みの数字にする事は出来ません。ご了承ください)

パールフルートの全体的にコンパクトなメカニズムは奏者の手に馴染むことを考えていますが、その形状も音色に相応しいように、優雅な曲面構成になっています。(下の完成写真はカンタービレです)

フルート秘話Ⅱ <追伸です>

撮影機材、といってもマニアックな事ではありません…。

前に書きました、仕上げの話に添えた写真ですが、今回楽器の背景に使ってみたのが、「ネル(=フランネル生地)」(木綿100%の厚い布地。表面は柔らかい起毛があります)。この布で仕上げに磨くわけです。フルートの美しさを生み出す、縁の下の力持ちです。

フルート秘話Ⅱ 仕上げによる差って?

6月27日「トリルキー作り」で触れた、仕上げの話、カンタービレ以下のモデルでは銀メッキによる最終仕上げをしていますが、その前に行う丁寧な磨きが前提です。「バフ掛け」といわれる工程ですが、先日ご紹介したヘッドスクリューの如く、職人が磨くと全く別物のように輝いてきます。熟練工による完全磨き地肌のオペラとマエスタ、仕上げを銀メッキで行うモデルとの差、そこには我々とお客様のこだわりだけ、といってよいかも知れません。

なかなか伝わりにくい点ですが…是非お店やギャラリーで直にご覧の上、納得頂ければ嬉しいです。パールの明るく柔らかい音色とともに、試してみてください。

写真は手前、Dolce F-6750(頭部管銀モデル)の胴部管と頭部管、奥はカンタービレの胴部管です(例によって詳細モードは画像をクリックしてください)。

※「フルート秘話」のコーナーを引き継ぎ、「フルート秘話Ⅱ」として、ソフトな切り口でご紹介していきたいと思います。どうぞよろしく。

フルート取扱いについて、気がついた事など 2

「リペアは専門店・メーカーへ任せよう」という方は多いと思います。確かにその通りなのですが、一方、ご自身で行える内容もあります。
よくご相談を受けるのがタンポの張り付き音です。これはベーム式フルートにとって、依然タンポの表面を被う最善の材料であるフィッシュスキン(羊や豚の腸を大変丁寧になめし薄くしたもの)の宿命かもしれません。勿論我々製作側は常に良いものを求めていますが、「馴染む」という「へたり」と紙一重の性能が要求される場合、なかなか化学繊維では難しく、また可能になっても、やはり張り付きは付いて回るかもしれません。そして張り付き音が出る方、出ない方と千差万別です。
 
異音発生時にタンポのクリーニングペーパーを使われている方も多いと思いますが、我々の経験では、普段の手入れを予防という形で、まめに行うと、結構未然にコンディションが維持できるように思われます。クリーニングペーパーは油取紙でも結構ですが、ティッシュなどが良くないのは、表面が粗い紙ではタンポの表面を起毛させてしまうからです。拭き方は挟んでキーを演奏と同じように押す感じです。挟んだ状態で景気よく引っ張るとタンポを破く可能性があります。
 
お預かりした楽器は我々の方法でクリーニングしますが、特殊な作業ではなく、タンポ周りの掃除をちょっと丁寧に行うということです。掃除ですから汚れるまでの予防です。なので、冒頭に述べましたのはご自身で予防管理を頂ければ、というわけです。即効性があるものではないので、辛抱頂く部分もあるかもしれませんが、我々から見た時にご自身で継続して掃除して頂いている楽器は、やはり違うな、と思うこともあるのです。

フルート製作の話(道具)

今回は我々と使う道具との関係を少し話してみます。
完成品である楽器が全てですから、道具を見せた所でしょうがない、という思いはありますし、また、外から見て、いかに特殊な事をしているか、という「工程」への関心はあるかも知れませんが、職人の腕前や道具など、分かり難い話かもしれません。しかし、本当の「技術力」はやはり腕(道具を正確に整備する腕も含みます)。なぜフルートが未だに自動生産できないのか、という答えにもなります。道具は腕と使い方で、例えば綿棒一つ、紙一枚でも使いやすいものがあるものです(我々の目的での話です)。
さて、道具といえば基本中の基本である、ドライバー。
大きめ(といっても幅2mm程度ですが)のドライバーは、使いやすいものがまだ入手出来ますが、精密ドライバーは安価なディスカウント品に淘汰され、我々の目的に合った、しっかりした、精度の高いものは入手が困難になっています。
これを各職人がネジのミゾに密着するように、また使い易いように研ぎ澄まして精度を上げて使います。研ぐのも腕とセンス。角が落ちて丸くなったり、精度が落ちてしまうようでは意味がありません。ハンドメイドモデルをはじめ、メカニズムは微妙なところまで強度を計算に入れたコンパクトなものになっていて、ネジもいくつか種類があります。それらのネジ頭に合わせたドライバー(幅・厚さ)になるように加工します。
 
「食べる人にとっては、出来上がった料理が全てであって、料理人がどんな包丁を使っていようと、そんな事は関係ない。でも、だからといって、料理人にとって包丁ならなんでもよいわけではない。」
これはNHK交響楽団首席奏者の神田寛明さんの、演奏家の楽器に対する例え話ですが、僭越ながら、我々の道具も当てはまります。
 
メカニズム(芯金)を固定する、ポストのネジが緩んでしまう、という事に対し、「緩まないネジの締め方がある。」とは熟練リペアマンの言葉。力任せに締めたら小さいネジ頭のミゾも、ネジ山もつぶれてしまいます。正確で微妙な操作が、正確に力の伝わるドライバーを必要とするのです。
先日ご紹介の「やっとこ」。数多く用意してます、という事ではありません。職人が、必要から改良していった結果です。「弘法」は筆を選ばないかも知れませんが、「工房」は道具を選び、工夫する腕が要ります。
 
さてさて、あくまで我々がフルートを製作するという、特化した目的からのお話しですので、例えば家にある日常品の修理にここまでは不要でしょうし、別の観点で道具を見るべきことですから、誤解されませんように。
 
写真はメカニズムの各パーツを合わせ込んでいく作業です。

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